戦型, 未分類, ニュース

ペンカットマンはまだ生きていた!62歳世界ランク811位のラストサムライ(そして実は細々と残っているペンカッターたちの現在地)

LINEで送る
Pocket

昨年暮れ、卓球人界隈のTwitterタイムラインに激震が走った。

ペンのカットマンがまだ居る?・・・しかも、62歳で、国際大会に出場しているフィジー代表だ。彼の名前はワン・チー。世界ランキングは当時811位(現在ランクなし)。ちなみにフィジー代表は現在国別世界ランキングが無いという、穴場中の穴場国。
そんな、ややハゲあがっているおっさんが、モダンな(恐らく裏裏)シェークドライブマンと対戦している、とっておきの秘蔵映像だ。
出典:卓球世界チームランキング
出典:卓球LINKS

肝心のそのプレーを見てみると、カットマンとしてはやたら前に構え、ペン粒のような短いカットも使う。そして相手が振りかぶってドライブを放った時にいよいよ後ろに下がって、天然記念物的に繰り出す、ペンのロングカット。

しかし、イマイチこの肝心のロングカットが安定せず、オーバーミス、ネットミスを繰り返す。(ただし、床に落ちたボールが凄いバックスピンをしているので、下回転は強くかかっている模様)

相手のドライブマンはニュージーランドのJohn Cordue選手で、最高世界ランクは491位(現在ランクなし)。そう強い選手にも見えないのだが、とにかくずっと劣勢。サーブは下回転サーブだが、いきなりドライブを打たせるような、長い下回転も良く打つ。意図が良くわからない。

相手のスキを見て反撃をするも、その反撃の精度も相当に微妙。ほぼミスを繰り返し、なかなか得点源が見出しにくい。「ミス待ち」ならぬ「負け待ち」のような悲しい卓球で、あえなくストレートで敗れてしまった。

正直、ペンカットマンが弱いのか、このワン・チーが弱いのかわからないが、とにかく、この選手が国際大会戦線にて生き残った、最後のペンカットマンなのだ。

卓球ファンの間でも、多くの人のペンカットへの認識は「古の戦型として、歴史ものの卓球読み物を読んだときに登場する」位のものでは無いか。日本では、1957、58年全日本チャンピオンの成田静司あたりが最後だったと言われる。

中国でも、ペンカットマンの歴史は世界初の粒高カットを武器に勝ち上がった、60年代の中国トップ5の一角、張燮林あたりが最後と思う人が多いと思う。

だが卓球王国の記事では、その後中国でペンカットが立派に生き残っていた事が確認できる。

二十年くらい前まで、中国の卓球の技術書の「グリップ」の項では、必ずペンホルダーカット主戦型のグリップが紹介されていた。ラケットの表面は親指だけで支え、裏面は四本の指を開いて支える独特のグリップで、フリスビーの持ち方をイメージしてもらうと分かりやすい。ラケットはペンホルダーだが、握り方はシェークとペンの中間という感じだ。

1970年代後半、ハンガリーに代表される、ヨーロッパのパワードライブ型の隆盛とともに、次第に姿を消していったペンホルダーカット主戦型。77年世界選手権で男子団体優勝メンバーのひとりだった王俊が、中国代表メンバーに入った最後のペンカットマンだった。これから中国がペンホルダーカット主戦型を育成することはないだろう。

文&画像出典:卓球王国

1977年、割と最近まで中国ナショナルチームでは生き残っていた事に驚かされる。

しかし現代では、ペンカットはまるで見ることの出来ない戦型。
引退した馬琳が空いたバックを突かれた際に、しのぎのボールとして使う程度だ。

ましてや自分の周りでは一人もいなかったので、先のワン・チー位かと思いきや、実は驚く事に、今もペンカットマンはそこそこ存在するのだ。

いざ検索して、割と居るなぁ、と驚かされた。
中高の草の根レベルから、確かに存在しているのだ。

知っている人しかできない、ペンのカットマン談義。やはりバックカットが泣き所で、可動範囲が狭く不自由なのだとか。シェークがフォアカットが弱点であるその逆なのが、興味深い。
出典:もんぐれ氏のTwitter

さらに、以前「ピンキュー」という、少年マガジンで連載されていた卓球マンガで、
主人公があろうことか、このペンのカットマンだったとか。
(裏面打法でのカットマンタイプだったそうだが)

藤崎マーケットの田崎さんもペンのカットマン(学生時代の卓球経験は無いものの、
よく仲間うちで卓球はしているとか。)

確かに、ペンでカットした際の、「回転がかかってます!」という手応えはわかる。

そして意外と多かったのが、「ペンのカットマンは割と強い」という情報。

それもそのはず、2ちゃんねるのスレッドにも「最近の全中に出た」(!)というペンのカットマンがまさかの降臨。他に、地区大会優勝レベルならウチでも見かけたよ、という報告も残る。

泣き所と言われるバックカットだが、実はそのバックから強烈なサイドスピンカットが出しやすく、クセ球として効果的なのだとか。さらに、カットのスピードが出やすく、相手は面食らうとも言う。

またカットをする際は、グリップから人差し指を外す人が多いが、外さない人もある程度居る。

用具だが、フォアにモリスト2000、TSPの730あたりを使って
バックにはフェイントロング2などの粒高の人が多いそう。
さらに、ラケットはサイプレスなどの、ヒノキ単板を使う人が多いとか。
(10年前位の2ちゃんスレッドからの情報なので、特にラバーは時代を感じるが)

さらには、「バックだけカット主体」というジオニスのようなスタイルの女子選手も居て、
市内三位になった者も居る。サイプレスの裏面に一枚ラバーを貼っているツワモノだとか。

出典:ペンカットの限界を模索するスレ
出典:【時代】ペンカット【錯誤】

人里離れた山奥に住む隠れキリシタンの如く、実は細々と生き残っている、ペンのカットマンたち。しかし、世界ランキングに最近まで入っていた選手というと、冒頭のワン・チーしか居ないのだろう。

ただ裏面を取り入れたプレーなどで守備範囲の問題はある程度改善されるはず。ペンならではの、回転・パワー・クセ球は、捕球が難しいと対戦した者は口を揃えている。

いつか、どこかの卓球場で、ペンカットマンと手合わせしてみたいものだ。
一生に一度でも良いから。

そして、思わぬ形で、彗星のように卓球のトップシーンに帰ってくる事をひそかに待っている。

LINEで送る
Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です