現在日本卓球界男子最強のチャンピオン、水谷隼。
中・後陣からの両ハンドドライブの連続攻撃でラリーに無類の強さを誇り、
危うくなると、何度でも返すロビングでしのぐ鉄壁の守備力まで兼ね備え、
26歳の若さで全日本選手権を7度制覇している、国内無敵の男。
そんな男が2015年3月、卓球界に大きな衝撃を与えた。
「水谷隼カレー」の発売である。
「お口に広がるスマッシュ級のおいしさ!」
という脱力系のキャッチフレーズで卓球ファンの腰を抜かしたこのカレー。
フリーデン社によると「やまと豚」なるブランド豚を使用し、「純国産豚にこだわり厳しい品質管理で育てた豚なので、肉質はきめ細かく、柔らか。脂肪に甘みがあり風味も抜群」なのだそう。
そのため、販売価格は500円と、少々強気の値段設定となっている。
「卓球選手がカレーに?」「なぜ?」「血迷ったかww」
「革命的なデザインセンスが食欲をそそりますww」
などという声があちこちで相次いだ。
もはや各卓球ブログでもネタ商品として扱われ、
「水谷隼カレーを食してみた!」
というレポートが、半ば人柱レポとしてあちこちで連投された。
水谷の個人スポンサーであるフリーデン社が発売しているとはいえ、
なぜ、まさかの「水谷隼カレー」が世にでる事となったのか?
私は思う。
それは、スポーツ選手のブランディングの確立という大きな役割からでは無いか?
他のメジャースポーツを見渡しても、カレーは国民的アイドルたちがその広告塔になってきた。
野球界では、あのイチローや田中将大によって「朝カレー」が話題となり、2人ともテレビCMに出演している。
同じくカレー好きであった松井秀喜に至っては、母のカレーの味を再現した「松井家秘伝のカレー」なるものまで販売されている。
さらにサッカー界でも、4連続ハットトリック男中山雅史に加え、あのラモス瑠偉による伝説のJリーグカレーのCMが、25歳以上の日本人の脳裏に深く焼き付いている。
さらにゴルフ界のベビーフェイスの代表格、石川遼も抜け目なくハウスのカレーのCMに出演している。
そう、カレーは子供が好きな食べもの永遠の1位の食べ物であり、健全性や一般性、アイドル性を兼ね備えてこそ、カレーの広告塔になる事が許されるのである。
そこへ来て、卓球界のプリンス水谷隼である。
普通であれば、一般性とアイドル性が致命的に欠落しているように見える。
しかし、ここに来ての卓球の社会的地位の上昇は目覚ましいものがある。
世界選手権のテレビ中継を皮切りに、最近ではメディア露出が大幅に増え、「マイナー競技の王様」という地位から「メジャー競技のギリギリ一角」という栄えある地位へ浮上してきた。
ハウスのような大企業では無いとは言え、そのカレーの広告塔として卓球チャンピオンが使われた事は、その卓球界の躍進を表している。と同時に、卓球界がより「健全」で「一般的」で「アイドル性も含んでいる」スポーツとして、アピールできる機会を得たと言えるのだ。
この愛すべきネタ賞品の登場は、喜んで良いのだ。
ただ、今のところだいたい「ネタ商品」か「草卓球大会の賞品」に用途が限られているように見える。
だがこのカレー、なんと水谷選手の地元、磐田市のふるさと納税の景品となり、このカレー6個がオリジナルタオル(今治産)とセットに贈られるというのだ。カレーだけでも3000円。なかなかの還元率と言って良いだろう。
なんでもこの水谷隼カレーを食べると、一部が水谷選手の強化費用として還元されるらしい。
日本では最強格を誇っていても、中国選手へはもう一歩の所で負けてしまう水谷選手。
皆さん、このカレーを食べる事で、水谷選手の背中をスプーンで強く押そうでは無いか。
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