MENU

今年で70周年!卓球界の良心・アームストロング社の「イイ会社伝説」

LINEで送る
Pocket

2015年10月31日、秋風が「涼しい」から「寒い」に変わるころ。
そんな寒風を吹き飛ばすような、一人の卓球人による、心温まる、温まりすぎるツイートがTwitterの卓球クラスタの間を静かに吹き渡った。

どちらかというと客からの「買う行為を伴わない問い合わせ」は、客としては正当な権利ではあるものの、メーカー側の仕事を増やす行為のため、少しだけ面倒なはず。

そんな問い合わせに返したのは舌打ちでは無く、心の尽くされた直筆の手紙と金バッチのプレゼントという、社長自らによる最高の返事。さらにこの後、ぴんづも氏の元へは年賀状も届いたという。

さらに、アームストロング社の心が洗われるような対応はこれだけに留まらない。

strong

この、社長からの折り目正しいカタログ・名刺・メッセージの3点セットは、卓球ブロガーのまなきゃん氏が、「謎のチョコレート色の”レジェンドラバー”「征服」」の発売日がわからず、問い合わせた事によって、わざわざ社長側が自ら発売日を調べた上で、送り届けてくれたのだ。

seihuku
画像出典:第12回 征服

そしてまなきゃん氏は「少しでもアームストロングの商品が売れるよう アームストロング推しでいきます!」と、ぴんづも氏と同じ事を言って、記事の幕を閉じている。

そう・・・アームストロング社は、ここまでされたら、応援せずには居られない会社なのだ!
出典:まなきゃん 卓球けもの道

さらに。
他の卓球ベテランブロガーの方が、アームストロングの軽快12という古い桧単板ラケットがJTTAAの刻印の色が殆ど落ちてしまった事を原田社長に伝えた所。

「無料で(打ち直しを)やりますから送って下さい」という素晴らしい返事。

しかも、昨日郵便で先方に届いたものがもう打ち直しをして「明日には発送します」という、あまりの仕事の速さだったという。タダなのに・・・
出典:西鹿庵(さいろくあん)・ラボ外雑記帳

なお・・・このアームストロング社、最近は卓球界に残る「化石的で超レトロな会社」というイメージがバッチリついているが、実はここ、卓球の世界を変えたスゴい会社なのだ。

harada

台東区の寛永寺第2霊園に眠る、この人こそ初代社長の原田力蔵(はらだりきぞう)氏。彼は17歳で芸人の世界に入り、33歳で芸人を辞めてビリヤード場を経営し、45歳にして辿り着いたのが、卓球用具製造の道だった。そして49歳で西日暮里に東京卓球会館を建て、ここに荻村伊智朗などが通い、卓球ニッポンを作った練習場に仕立てあげた。さらに51歳で「スポンジ付きラバー」という大発明をし、それを使用した佐藤博治選手が第17回世界卓球選手権にて優勝した事で、世界中にスポンジ付きラバーが広まっていったのだ。
出典:谷中・桜木・上野公園路地裏徹底ツアー
出典:アームストロング 会社概要

さらに、世界チャンピオンの河野満選手は、1967年に世界選手権のシングルスで初めて決勝に進んだ際に「赤マーク」という、アームストロングの表ソフトラバーを使用していたという(なんと現在も発売中)。

aihukuhara

このアームストロング社のラバーだが、過去の栄光だけでは無い。同社が手塩にかけて育ててきた「表ソフトラバー」の品質は確かとされ、看板商品のアタック8は、あの福原愛がバック面に長年使用しているほど。

そんな、歴史の素晴らしさと、最高のホスピタリティを持った稀有な会社・アームストロング社は、今年2016年が記念すべき70周年。

粘着性表ソフトラバーや、シェーク檜単板ラケット、さらにペンでチキータが打ちやすい特殊な「カセグリップ」を使用したラケットなど、「ここにしか咲かない花」を多数咲かせている、アームストロング社。東京の下町人情気質が出ている、小さくてもキラリと輝く会社。

arm katalog

そんな卓球ニッポンを密やかに作ってきたアームストロング社の70周年を、いま密やかに祝いたい。おめでとうアームストロング!

LINEで送る
Pocket

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (12件)

  • 前半のTwitterやブログの情報は知っていましたが、後半のアームストロング社の事は驚く事ばかりでした。

    カセグリップの日ペンや粘着アンチのニューアンチスピン、変化系表ソフトの代名詞であるアタック8などが挙げられてましたが、自分は高弾性裏ソフトの光ラバーもいいと思っています。スレイバーやマークVよりも球離れが早いためスピードがでて、それでいて回転がしっかりかかるので、自分の中では最高の高弾性裏ソフトでした。

  • コメント有難うございます!凄く嬉しいです。
    アームストロングのラバーって中々使っている人が周りに居ないので、実際に使用した方のお話は貴重です。「光」良さそうですね。僕もニッタクのミッドシップ(廃盤)というラバーが球離れが良くてしっかり回転がかかって好きだったのですが、聞いている限りはそれを彷彿とさせるような感じですね。さすが70年の歴史を持つメーカー、一度使ってみたいです。

    あと、蔡振華のくだりはちょっと事実が確認できなかったので、代わりに河野満選手の話を入れておきました…失礼しました。https://ta999.com/products/list_category_id_72_2.html

  • 79年は小野さんがピョンヤンで優勝した年。当時はスレイバー、マークⅤが主流でしかも皮付き。私は高2で学年のエースが使っていました。先輩が光を使っていて身近な存在でしたが、やはり2大巨頭のネームバリューで私はマークⅤを使っていました。
     征服は、その2つよりラリーに明らかに強い印象があります。良いなぁと思いながらもサーブではマークⅤ程回転がかからない印象があったことと、飛びすぎて ショートがただでさえ崩壊しているのにこれ以上ダメになると試合にならないのでやめたのだと思います。
     アームで覚えているのは「プレクシー」?77年当時、スレイバーを使っていて、後輩がこれを使用。飛び出しが良くて明らかにスレイバーより良いボールが飛んでく(個人の感想です)ネームバリューに弱いんですよね。
     「ウォーリャー」?マークⅤのようなクリーム色のスポンジ。これはまさにマークⅤという感じで、この時はもう大人でしたから、名前ではなく、良いラバーだと思って暫く使っていました。
     また、戻りますが征服が出た頃、「アームスーパースピン」というラバーがあってB社のTネスより回転がかかる感じがし、使いやすい良いラバーでした。
     ラケットも圧縮なんてありましたし、いろいろユニークなものを出してましたね。
    最後に、77年頃、田舎だったので一番高いラケットってバタフライの「閃光1」だったのですが、アームで閃光1のような、エクレアのような積層板のグリップ(だったと思う)で閃光1よりはるかに高価なラケットがあったと思うのですが、知りませんか?

  • コメントありがとうございます。嬉しいです。

    70年代の卓球界のお話、とても興味深いです。勉強になります。ご自身も色々アームストロングの用具を使ってらっしゃったんですね。当時は日本の卓球用具の先駆者として、まだまだ売り上げ的にも勢いがあったのでしょうね(裏ソフトの代名詞である、スレイバーらよりも優れた性能を持っていたとは驚きです)。

    僕が中学時代の90年代半ばごろ、やはりスレイバーとマークVが未だ勢力を保っていて、アームストロングの用具は殆ど目にしない状態でした(恥ずかしながら、地元スポーツ店の隅っこにある、何やら近寄り難い存在の用具というイメージでした)。少しペンでやってみたくて、顧問の先生から借りた単板ラケットがアームストロングだったかな?という位です。なので、アームストロングの事に関してはこれを書きながら勉強して覚えたという形でした(これほど輝かしい歴史がある会社とは思わず、驚きました)。

    あと、ラケットについてはすいません、わかりません…!それこそ、アームストロング社の方へ問い合わせてみると、教えて頂けるかも知れませんね。

  •  アームストロングの良いところは、自社工場を持っているので注文に小回りが利くという事ではないでしょうか。ラケットならタマス、ダーカー、ラバーならタマス、アームストロング位なのではないかと思います。
     開発の事はよく知りませんが、残念に思っているのは、テンション技術のメインストリームがドイツにあるという事です。タマスはテナジー、TSPもあまり目立たないですが(失礼)テンションがありますが、他は殆どドイツ製です。
    ラージラバーでも反発力ならドイツが強い。
    個人的にはもう少しアームさんに頑張って欲しい。「光」って私のイメージだと少し粘着コーティングみたいな加工がしてあってラバーが古くなっても粘着が剥がれてもう一回高弾性で勝負できる!長持ちラバーでした。
    ゴムシートを表でそんな感じにしてスポンジをもう少しテンションの利いたものを作って欲しい。
     このブログを見てたらお願いします。熱い、熱い原田社長。

     

  • ありがとうございます、とても勉強になります。
    恥ずかしながら殆どの卓球メーカーは自社工場を持っているイメージだったのですが、そういう訳では無いのですね。ダーカーまで行くと、もはやアームストロング以上に渋いレベルになるかも知れません。博学ぶりに恐れ入ります。

    また、最近は確かにテンションと言うと「ドイツラバー」である事が多いですね。ブライスでテンションラバーの幕開けを告げたのは日本ですし、日本メーカーに奮起して欲しい所ですね。

    光、そんな面白い性能を持っていたんですね。一粒で2度美味しいアーモンドグリコの如く2度違った性質を味わえるとは、オツなラバーです。

    許ッシンさんの情熱が原田社長の元まで届いて欲しいですね。

  • カセグリップはハイフィットのコルクグリップが合ってない。角度が急すぎる。ショートがやりにくくなる。他社のグリップと角度を比べてみればいい。

    • コメント承認と返事遅れて申し訳ないです。
      確かにまだ広まっていないという事は、そういう欠点もあるのかも知れませんね。
      ただ、新しい選択肢を世に提示するという意味では、良いチャレンジなのかなとも思っています。

  • 光 40年前に愛用していました。最近、また買ってみましたが、スポンジが当時と変わってました。昔の方が弾んだ気がします。それにしても40mmボールは伸びないですね。サーブの規則も変わってしまい、昔の様にはプレー出来なくなりました。

    そんなこんなで、ラバーを色々試していますが、沢山あって大変。SH-Iはこれから試してみます。

    • 返信遅れてすいません(承認した後返信を忘れていました…)、名作ラバーというお触れの光、使ってらっしゃったんですね。40mmになってから、高弾性ラバーはグルーなしでは、攻撃選手は使いづらい存在になりつつあるのかも知れません。ラバーがたくさんある今は、用具で迷う材料が増えたのと、選ぶ楽しさがあるのと、両方ありますね。

      SH-Iは卓球王国の懸賞で10名プレゼントをやっていたので、応募してみました。もし当たったら、今から使うのが楽しみです。

  • 表ペン片面ですが、アタック8を使っています。(M粒 40硬度)変化形表の片面だけですが、十分戦えますよ。
    突っつきが切れてなく、相手の突っつきがオーバーしますが、サーブは意外とかかるんですよね。なんと言ってもスライス気味のスマッシュが気持ちよく決まります。順回転系のレシーブもし易いです。自分はし易く、相手はし辛い、いいラバーです。表は粒形状とスポンジ硬度の微妙なラインナップがいいですね。表ラバー難民で、もっとスマッシュが、ピシっと決まるもの、飛びすぎないもの、扱いやすいもの、を探していたら、ここに行き着きました。自分もアームストロング社に感謝したいです。毎日、ラバー制作、ありがとうございます。

    • アタック8ユーザーとしての実感の伝わるレビューありがとうございます。
      大手では無い中小のメーカーの用具でここまで使われている製品はそんなに無いかも知れませんね。また粒形状とスポンジ硬度の幅広いラインナップも凄いところです。下記のサイトによると、ラバーの種類&スポンジの厚さで94種類に分類されているということですものね。
      http://www.shirotofitness.com/entry/2017/02/20/170000

      71周年を迎えたアームストロングにますます発展してほしいです。

pingpongman へ返信する コメントをキャンセル

目次